雀色時の記録

鑑賞・創作の覚書きです※後日、加筆・修正あり!

「リップヴァンウィンクルの花嫁」感想

 主人公・七海(黒木華)は、人を”疑うこと”を知らない女性。そして、自分に自信が全くない。そして、その彼女を取り巻く世界(教師という仕事、見た目には完璧な結婚、家族)は嘘にまみれていた。嘘と分かっていたからなのか、悲惨な状況にも関わらず、七海は、何事にも無頓着、無感動。ある日、その状況を一変する出来事が起こる。それは、あえて、本当に嘘で固められた世界に身を置き、”演じ切る”ことだった。最初は戸惑いを隠せなかった七海が、意外なことに、生き生きとした表情を見せ、自分の居場所を見出していた。そして、七海は端から見ると、とても危なっかしい(誰のことも信じるから)のだけど、いつも周りを幸せにし、ラストは自分の幸せをも見つけ出そうとする(のを特に説明はないけど、私はそう思えた!)。

 
 音楽(フルートとハープ)、柔らかい光の差し込む映像、そして何よりも俳優陣が素晴らしくて!だからこそ、入り込んで見ることが出来ました。ストーリーで言うと、どこからどこまでが嘘なのか。その境目が、私も七海同様、(信頼した)人のことを割と無条件に信じる性格なので、解釈が難しいところです。それでも、安室(綾野剛)の一言「それは僕が選んだ人だから!」は本心からだと信じます。七海に甘える姿もあったし。真白(Cocco)の人への感謝の価値観も分かるなぁ。この辺りは意見が割れるところだと思うので、語らせたら長いです。
 
 どんなに生きにくい世の中でも、唯一信じられるもの。それは人を想う(思いやる)気持ち(それがどんな形であっても)なんだと感想を一言でまとめるならば、私はそう言いたいです。
 
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 この映画を”新宿”という場所で(映画でも使われていました。岩井監督の東京の土地に対する価値観?は少しこわい。。)、妹と観られたことがよかったです。いまの私には、一人で劇場に行く姿が想像できなかったし、共鳴ポイントが多いことは分かっていたから、少し怖かった。実際、鑑賞後は足が震えて(言いたいことありすぎて)、妹が居てくれて、感想~雑談までたっぷり(4時間くらい)お喋り出来たので、心が満たされました。やっぱり姉妹っていいね。
 

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劇場までの道のりで、見かけた風景。

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