雀色時の記録

鑑賞・創作の覚書きです※後日、加筆・修正あり!

モモ 

時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語

ミヒャエル・エンデ

 

 タイトルが凄くシンプルなだけに、サブタイトルの長さがインパクトのある作品ですね。イラストがモノクロ(版画?)だったり、モモの住む世界があまりに単調、人間味がない、無機質な感じで、少しこわい雰囲気のある物語。それでも、いや、だからこそ、惹きこまれるものがあって…。初めて読んだのは小学校3年生だけど、今だに好きだし、同じ著者の「はてしない物語」なんて、本当に素敵な世界観だと思います。私は(一応)女性だけど、主人公バスチアンのように、女王様・幼心の君(いい名前!名訳!)に憧れました(今で言う、萌え)。

 

 「モモ」に戻します。”失われた”時間を取り戻しにいくストーリー。そうですよね、物語に登場する人物じゃなくても、誰しもが”取り戻したい”時間を持つものだと思います。私もそういう時間って、当然持っています。だから、共感できるし、ストーリーに没頭して読み進められる。でも、最近はあまりしっくりこない。確かに、”本来あるべきだった”時間をもう一度過ごし、過去をre-writeすることはできても、何かその先の未来に影響を及ぼすような、大掛かりなことまで出来る人って、何人いるんでしょうか。もし出来たとして、その先、またやり直したくなる局面にぶち当たるのではないでしょうか。そして、安直にモモに頼って、、これを繰り返すことにはならないでしょうか。

 

 過去は過去として、それも自分の生きた大切な、かけがえのない時間のひとつだから、受け入れる(取っておく)べきだと思うのです。それが、素敵で美しい時間でも、もう一度やり直したい悔しい時間でも。そんなことよりも、未来に目を向けて、一生懸命考えて、行動する。こっちの方が私にはしっくりきます。過去はもう動かせないけど、未来はいくらでも書き換え可能(何も決まっていない)んです。当たり前のことですが。だから、今、私の頭の中は少し先の時間のことでいっぱいだし、若干の(こうだったらいいなという)妄想も入っているので、楽しくて仕方ありません。そんなことをぼやぼやと思い返した一冊でした。

 

 「モモ」初めて手に取ったのは、小3の昼下がり。図書室でのこと。友人に教えてもらいました(その子とは今も仲良し。もうすぐご結婚するの。)。「魔法が使えるようになる本があるよ!」って。

 

●私の小3を形作るものたちメモ:室蘭、学校まで遠い、社宅、飼育委員、カワイイ消しゴム、学研(科学)、初めて男の子から好きって言ってもらって、びっくりした事。